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元祖黒久1•1•1さんの巻

  • 2008年9月 8日(月) 09:16 JST
今回の突撃インタビューにご出演いただくのは、劇団『元祖黒久1•1•1』を結成されたばかりのこのお2人、黒田有さんと、お~い!久馬さんです。関西を代表する実力派芸人でありながら、これまでも演劇界に活躍の場を広げてきた黒田さんと、マルチな才能を発揮する久馬さんは、実はNSC(吉本総合芸能学院)の同期生。
ともに芸人として実績を積んできたお2人が、どんな想いで劇団を設立されたのか?芝居に掛ける情熱とは?旗揚げ公演『ふね』を公演中の超多忙な中、快く取材を受けてくださいました!



Q、どういうきっかけで劇団を設立されたんですか?

久馬:

最初、黒田の方から僕に「芝居やりたいんやけど、一緒にどうや?」って、話があったんですよ。しかも脚本も自分で書くっていうから、どんなんになるんやろ?って。



Q、それが今回の旗揚げ公演『ふね』の脚本ですよね。脚本を読まれた感想は?

久馬:

なんて素敵な、爽やかな、ほっこりする考えを持ってはる人なんやぁ〜って(笑)。


黒田:

(笑)僕は自分のやっていることを50代、もっというたら60代や70代の方にも観てもらいたいって常々思ってたんですよ。たとえば僕ら『メッセンジャー』と『ザ•プラン9』でライブやりますっていうたら、お客さんは20代・30代の方がほとんどじゃないですか。もっと上の世代が何で観に来てくれへんのかというと、拒否感があるんですよね。もう、お笑いライブというものに。それが演劇やと、足かせを外すやないけど、観に来てくれやすいんじゃないかと。その世代の人にも足を運んでもらうためにも、あったかい、わかりやすい芝居を創りたかったんですよ。

Q、『ふね』は黒田さんにとって、演劇脚本の処女作になるわけですよね?

黒田:

以前に一度、ドラマの脚本は書いてるんですけどね。その前にはコント番組で、1本3分ぐらいのコントを週に2本書いてて、それが2年ぐらい続いたから膨大な本数のコント制作の経験はあったんですよ。素人判断かも知れへんけど、それをぐっと伸ばしたら演劇脚本も書けるんやないかと。「できそう」っていうたら本職の方に失礼やけど「やってみたい」って思ったんです。

Q、実際に上演されての感想はいかがですか?

黒田:

僕は頭の中で想像した絵を動かしてセリフにしていくんですけど、稽古に入った段階で自分のイマジネーションとのギャップが出てくるわけですよ。役者さん達の口から発せられると予想外に言葉に重みが出たり、逆に、あっ、ここはもうちょっと深みのある言葉にしとけばよかったって思ったり。まあ、反省することばっかりですわ。

Q、『ふね』でいちばん伝えたかったテーマは何ですか?

黒田:

僕ら2人も含めて10人の役者が登場するんで、その中のうちの一人にでも、観に来てくれたお客さんが共感してもらえたら嬉しいな、と。それがいちばんの願いです。


久馬:

僕は今回、特に何もしていないんで(笑)。


黒田:

コイツはホンマに何もしとらんのですよ!気ぃ使って「脚色」って役つけたけど(笑)。

Q、芸人としてはこれまで、ものすごい数の舞台に立たれてきたわけですが、芝居へのやりがいはお笑いとは違うものですか?

黒田:

芝居はやっぱりすごい達成感を感じさせてくれますよね。もう忘れてた、若手の頃に持ってたはずの想いを取り戻させてくれるっていうか…。ただ、芝居やってても僕はあくまで芸人でおりたい人間なんで、お笑いは「仕事」、芝居は言葉は悪いけど「趣味」みたいなもんです。
僕は仕事はお金やと思ってるんですけど、芝居はお金にはならないし、逆に赤字になることもあるでしょ。1時間テレビに出てなんぼ、みたいな仕事してるにも関わらず、最低でも稽古に2週間を掛けるわけじゃないですか。その上で立ち上げた人間としては、キャスティングとか色んなこと心配するわけで、動きに見合ったお金は求めないという意味もあって芝居は趣味なんです。

Q、では、お2人の原点として、芸人を志したきっかけを教えてください。

久馬:

高校生の頃から芸人に憧れはあったんですけど、こんなボソボソしゃべる人間には無理かなと思ってたんですね。でもその頃にダウンタウンさんが出てきて、松本さんみたいな笑かし方があるんやと衝撃を受けて。それで高校3年の秋におかんに「吉本行くわ」っていうて家を出て行ったんですよ。


黒田:

僕はね、芸人は金持ちなるための近道やと思ってた(笑)。21歳でこの世界に入るまでは板前をやってて、一日10数時間働いて給料が8万ちょっと。もう嫌でね。芸人は同じような歳でも、キャーキャー騒がれて、金も持ってるんやろなと。でも実際入ってみたら若手の頃は8万どころの話やなくて、月に1万もなかったんですけど(笑)。

Q、これまでに、芸人をやめようと思ったことはないんですか?

黒田:

ないですね。やらしい話やけど、10分しゃべってお金もらえる商売なんてほかにはないでしょ?司会業でも2時間しゃべらなあかんのに(笑)。


久馬:

僕は全然、お金なんかいらないですけどね。


黒田:

お前、やらしいわっ!(笑)

Q、気になる芸人さんはたくさんいるかと思いますが、気になる劇団や役者さんはいますか?

久馬:

学生の頃は、イッセイ尾形さんやシティボーイズさんをよく観に行ってましたけどね。演劇ユニットだと転球劇場の福田転球さん。個人的にも知り合いになりましたけど、こんなおもしろい人がおるんやと衝撃でした。


黒田:

僕も福田転球さんはすごい好きで。福田さんもそうですけど、この役は自分にしかできないっていうもんを持ってる役者さんはスゴいと思う。ヤクザもオカマも何でもできるっていうのは役者として素晴らしいことなんでしょうけど、この役だけは自分がいちばん、お客さんもそれを期待してるみたいな。吉本新喜劇の何がおもしろいかっていうと、いつも役柄が決まってるからでしょ。だからわかりやすいんですよね。『ふね』に今回出てもらった役者が、次の芝居で同じような役柄でもいいんじゃないですか。たとえ「いつも一緒やん!」って言われてもそれはそれでありかなと。

Q、今回はいわゆる小劇場での上演でしたが、今後は大きめの劇場で上演される予定はありますか?

黒田:

それこそ失礼な話やと思うんですよ。僕が芝居やり出したのなんか2〜3年前の話やし、しかも年1本とかでしょ。何をやるにしても、細かいことまで目を配らせて、色んなこと考えて、それなりに実績重ねないと。逆にいうと、劇団の方に「漫才師です」って漫才の舞台に立たれても、僕らとしては納得でいないのと一緒で、芸人としての実績のすべてが演劇で通用するわけじゃないし、大きい劇場でやることに意味は感じてないですね。

Q、関西小劇場が今後、もっと活気づくためにご意見をお願いします。

黒田:

僕も劇団の方は何人か知ってますけど、おとなしい人が多いですよね。まあ、僕が押しが強いっていうのがあるかも知れへんけど(笑)。特に役者さんは既存のものに乗り掛かって、その中で表現するのが上手い人は多いけど、何にもないところから創るってことに対しては弱いような気がする。たとえしょぼい舞台セットでも、演技力のある方はそれを駆使して、個々ひとり一人の頑張りをもっと世間にアピールしてもええように思いますね。
僕らみたいな演技力のないもんは、セットでごまかさんとよう芝居できないですけど、実力があればお金の掛かってない舞台でもいいじゃないですか。コレがいる、アレがいるっていうのは忘れて、もっとお客が来やすい舞台をやればいいんじゃないかと。見た目ばっかり派手にして、若者ばかりを集めてもしょうがないですしね。

Q、では最後に、『元祖黒久1•1•1』のこれからの方向性は?

黒田:

やっぱりオリジナリティのあるものを創りたいですね。でもあまりにも自分らの要素を入れ過ぎると、お笑い好きの人間ばっかり観にくるようになるし、それやとお笑いでやっていたらええ話で演劇にする意味がないでしょ。
僕はね、正直いって馬鹿にしてたんですよ。演劇というものを。はじめて観劇した時、周りの客は笑ってるけど僕は笑われへん、みたいな感じで。お笑いの人間は、笑いに対しての方程式がある程度できあがってるんですけど、演劇の中の笑いは方程式がズレてるなと思って、何がおもしろいのか全然わからなかった。
でも数年前から、縁があってちょこちょこ観劇させてもらったら、ちょっと見方が変わったというか…。固定観念を外して、僕なりのやり方でやればええんかなと。演出家や役者さんが観に来てくれはって、もしかしたら「何やこれ!?」って思われたとしても、誰を中心にやってるかと言えば、やっぱりお客さん中心ですからね。それさえわかっていれば、何をやってもいいんじゃないかと思うんです。


久馬:

僕はとにかく、これからも黒田を支えていけたらいいかなと。こんだけテレビに出て忙しい人が、脚本書いて、キャスティングして、稽古に通って、しんどいじゃないですか。でもその考え方がええなぁと共感したんで…。


黒田:

お前、そのコメント『ふね』のパンフレットにも載ってたで。カブってるやろ!


久馬:

じゃあ、「パンフレットと一緒」って書いといてください。


黒田:

お前、最低やな(笑)。



テレビと全く変わらない、気さくな雰囲気としゃべり口調で応対してくださった黒田さんと久馬さん。何を質問しても、迷いなくストレートに返してくれる黒田さんと、ボケを交えながら独特のテンポで応えてくれる久馬さん。そんなお2人のコントラストが印象的でした。
取材当日は公演中日。マチネ公演後の休憩時間にお時間を頂きました。お忙しい中、本当に有り難う御座いました。しかも、「ファンの皆さんすみません!」最終日には打ち上げにも参加させて頂き、しっかりお酒までご一緒させていただきました。黒田さん、久馬さん、ありがとうございました。本当に楽しいひと時でした。


聞き手:坂田大地・森有香/劇団そとばこまち
文・構成:桑原豊子




黒田有
1970年大阪府生まれ。1991年に漫才コンビ/メッセンジャーでデビュー以来、ABC『お笑い新人グランプリ』審査員特別賞、『上方お笑い大賞』最優秀技能賞、『上方お笑い大賞』大賞など数々の賞を受賞。関西の人気番組『なるトモ!』や『ナンボDEなんぼ』などに出演し単独での活躍の場も広げ、最近では声優やドラマの脚本・主演などでもその才能を発揮。

お〜い!久馬
1972年大阪府生まれ。1992年に漫才コンビ•シェイクダウンとしてデビュー。2000年に解散後、ザ•プラン9を結成。4人組お笑いユニット、ザ•プラン9のリーダーとして脚本を担当。ユニットとして『NHK上方漫才コンテスト』優秀賞、 『E−1グランプリ』準グランプリなどを受賞。脚本家•漫才作家としても活躍。

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